| 土佐藩士 |
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| 天保9年、家老桐間家の軽輩として城下の江口（北新町）七軒町、俗に |
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| 足軽町にある貧しい家に生まれる。はじめ、道場にも通えず、独学で |
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| 木刀をふるのが剣術の修行になったといわれる。その後、麻田勘七の |
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| 門下に入り、剣の才はあったようだが、下士の出自のため蔑まれていた。 |
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| そんな中、武市半平太に剣の才をかわれ、とりたてられた。以蔵はこの |
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| ことで武市を信奉者の如くに従うようになる。 |
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| 万延元年7月、武市に従って中国、九州を巡遊し、久留米の武市の知人 |
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| にあずけられる。 |
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| 文久3年春、江戸に出て、桃井春蔵道場で鏡心明智流を学ぶ。やがて |
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| 武市が土佐勤王党を結成するとこれに加盟。文久2年には京都において |
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| いわゆる天誅を盛んに行うようになり｢人斬り以蔵｣と呼ばれる。しかし、 |
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| この彼の天誅には以蔵自身の思想はなく、また彼は難しい論議も理解 |
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| できず、初めはただ勤王党にとって危険な人物を言われるままに斬って |
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| いたと考えられる。勤王党が藩主山内豊範を奉じ京に上ると、以蔵の |
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| 暗殺者としての動きは本格的になる。吉田東洋暗殺者を捜索中の藩の |
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| 下級警吏井上佐一郎をはじめに、越後脱藩勤皇浪士本間精一郎、関白 |
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| 九条尚忠の謀臣宇郷重国、池内大学、ほか京都奉行所与力などの暗殺 |
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| に関わる。以蔵の暗殺行動は、武市より命を受けたのではなく、武市に |
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| 邪魔な人物を勝手に暗殺したというようにもとられているが、武市側も |
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| それを見て見ぬ振りをしていたと思われる。 |
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| そんな頃、以蔵のもう一人の大事な人物と思われる坂本龍馬と会い、思 |
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| いもよらず、勝海舟の護衛を頼まれる。勝を襲った刺客二人を一刀のも |
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| とに切り伏せた話は有名である。 |
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| 8月18日の政変後は土佐生まれの土井鉄蔵と変名し、賭博や強盗など |
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| をしているところを京都町奉行に捕らえられた。以蔵は自ら土佐藩の者 |
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| と名乗るが、土佐藩はそれを認めず、無宿鉄蔵として洛外に追放された |
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| ところを藩吏の手に捕らえられ、土佐に護送される。 |
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| 武市ら土佐勤王党同志が囚われている高知城下南会所付の獄に入れられ |
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| る。拷問の末、藩吏井上の暗殺を自白する。自白に至るまでに、武市は |
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| 以蔵を志士として認めておらず、拷問にも耐えられまいと踏んで、以蔵 |
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| に自決をすすめるが以蔵は納得せず、ついには武市が外に手を回し以蔵 |
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| の毒殺を計るが失敗。これに裏切りを感じた以蔵が自白したという説も |
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| ある。 |
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| 慶応元年5月10日、斬罪に処せられる。享年28歳（あるいは30歳）。 |
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| ｢君がため尽くす心は水の泡 消えにし後は澄み渡る空｣ |
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| 辞世といわれている。 |
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| ■ 剣 客 剣 豪 ■ |
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