新選組一番隊沖田総司

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沖田の前には、敵が2人が立っていた。
神様は、不公平だ。
時間のない僕に剣客としての才能をくれた。
時間のあるはずだった。彼にはその才能はくれなかった。
沖田は今、斬りつけもう息をしない人を見て思った。
「勝負!!沖田!!」
僕は、戦いの中で死にたい。
それなのに、誰も僕を殺してくれる人はいないんだ・・・・。
僕は、全力で戦いそして死にたいのに。
「総司・・・。どうした?」
土方が近づいてきた。
「土方さんこういうときは、大丈夫かでしょ?どうしたって見れば分かることを」
そういって沖田は笑った。
「何言ってやがる。お前がこんな三流の野郎どもに負けるはずがないだろう。それよりなにをぼうっとしているんだ?早くこい行くぞ」
「はいはい。わかりましたよ。」
「そうだな。お前の腕は良いからな。」
近藤が近づいてきた。
「そんな近藤さんまで・・・。」
「あははは」と新撰組の面々が気づかぬうちにたくさんいた。
「みんなしてひどいですね。そんなに笑うげんきがあるら。隊士の皆さんと稽古でもしましょうか」
「ええ〜そりゃないですよ」
「そりゃいい。稽古つけてやれ」
「土方さん〜。」
「副長〜」
「そうだな。みんな、怪我には気おつけろ。」
「局長〜、そんな〜」
「何です?嫌なんですか?」
そのときだった。
「兄上!!」
少女が切りつけられた男に近づく。
「なぜ?兄上を!!」
少女が沖田をきっとにらんだ。
「あなたがやったのね!兄上の仇!!」
そのとき、少女の顔が見えた。
「・・・・母・・・上・・・・。」
その少女の顔は、沖田に母を思い出させるような、沖田の母が若かったときこんな顔だっただろう。
そう思えるような顔だった。
沖田はそのとき彼女の持つ短剣など目に入らないほど驚いていた。
「総司!」
土方が叫んだ。
そのとき初めて、沖田は少女の持つ短剣に気づいた。
(この僕に、命をくれた人と同じ顔をした人に命を奪われるかそれもいい・・・)


*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
                           (敬子)


「総司ーー!!!!」
土方が叫んだ。
その時、少女の短剣は総司の横腹をつらぬいていた。
そして、二日後。総司は気がついた。
(あれ?僕、死んだんじゃ・・・・・・)
「総司!!起きたか!!」
その声は土方だった。
総司があたりを見回すと、そこは屯所だった。
「土方さん・・・・。僕・・・・・」
「お前・・・どうしたんだよ・・・・あんな少女にさされるなんて・・・」


*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
                            (とら子)

「彼女は?」
「今、取り調べられるところだ。沖田さん何やってるですか殺されるつもりでもいたんですか?土方さんが止めてくれたからそんな擦り傷程度でづすんだ!!」
起こるのは土方の小姓の哲之助であった。
「そうですね。すみませんぼうっとしていて。」
泣き顔に近い彼の顔を見て沖田は笑う。
(またしにそこなってしまった。)
心のなかでそんなことをつぶやく自分を悔やむのはやはり仕方がないことなのだろう。
母に似たあの娘に殺されてもいいと本当に思ってしまったのだ。
母に似た・・・そこで気づいた彼女がピンチだ!!
「彼女は何処です?」
すごい勢いで沖田が聞く
「え?たしか・・・・近藤局長のところかと・・」
聞くや否や走り出した。
自分でもばかげてると思う。
自分の事を殺そうとした母にの娘に俺はなにが言いたいのだろう。
あってどうする。きっと彼女は、僕を恨んでいる。仲間の居場所もはかない。最終的に彼女を生かして置くことはまずないだろう。
「待て!!」
止めたのは後を追ってきた土方だった。
「行ってどうする?なぜあの女にいれこんでいるんだ?」
「いれこんでなんていない。・・・でも彼女には死んで欲しくない」
ただそれだけだ。言葉にしてそれに気が付いた。
「どうしました?」
山南さんの涼しい声が廊下をとうる。
「山南!!こいつを止めろ!!」
「だから、どうしました?」
「助けたいです。それだけです」
そういうと近藤の部屋の障子を開けた。
そこに居たのは近藤たけだった。
「お願いします。彼女をいかしてください。」
何が何だか分からないけどねがった。
心から助けたいそう思った。
「おいおい。どうしたんだ総司俺よりかおんながいいのか?」
とそこにきたのは芹沢だった。
「総司。なぜ彼女を生かしたい?」
いつもはおどけてみせる総司が今日はそんな余裕もなくしていた。
それに気づきゆっくりと落ち着かせる声で近藤が言う。
「近藤さんこいつにあの女を生かしちゃいけない。」
と土方が怒鳴る。
「それは、俺も同感だ。」
芹沢も共感する。
「なぜです。彼女は女です。武士が女子供に刀を振り下ろさないのではないのですか?」
そして、近藤が沖田の目を見ていった。
「総司。・・・お前あの時なにを考えていた?お前ならよけられたはずだろう?」
そうだ。僕はよけられた、あんなただの棒振りだ。僕が止められないはずがない。
「・・総司・・・お前あの時なにを望んだ?」
沖田は言葉に詰まった。そこにいたみんなの目線が沖田に集まった。
皆、言いたいことは一緒だった。
「・・・・俺は・・・」
「総司。僕には君が彼女に刺されるのを望んでいるふうに見えた。」
山南がいった。
このとき初めて、みんなが自分を心配していることに気づいた。
「お前が気を失って、2日間。屯所の中はまるで葬式状態だったんだぞ!俺は暗いのが一番嫌いなんだ。」
と芹沢が言った。
「そうだ。芹沢さんと意見が合うのはいやだが。俺に仕事をふやすな。」
と土方
「そうです。あなたがいないと計算ばかりやってしまいますよ。笑いを持ってくる人がいないと」
と山南
「総司。お前がもし死を望むなら俺がお前を殺してやる。」
近藤が言った。
沖田は自分の馬鹿さ加減があきれた。
「ひどいな芹沢さんも土方さんも山南さんも近藤さんまでそれは僕を励ましているつもりですか?もう不器用な人たちですね」
沖田が笑った。いつもの笑みで
「そうですね。あの事は僕らしくなかった。でもやはり彼女は殺しちゃいけないですよね?」
そうして一同共感した。
もともと誰よりも武士らしい人たちなのだ。
「でも、このまま返すわけには行かないぞ。」
「仲間の居場所を知ってるかもしれない。」
「僕に合わせてくれませんか?」
沖田が言った

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                           (萌)

沖田はすぐさま少女の手から剣を奪った。
                           (かしお)
「刀を返して」
少女が言った。沖田は静かに首を横に振った。
「お断りします。また刺されたらたまったもんじゃない」
「あなたを殺すわ」
「尚更、剣は返せません」
少女は頭を下げ、下を向いた。
「あなたの、名前は?」
「言う必要はないわ」
「殺されるとしても?」
「えぇ」
強い子だ。沖田は思った。母親に似たその少女は、母よりも数段強かった。
「殺されるの怖くないんですか?」
「あなたと、馴れ合うほうが百倍怖い。兄上を返して」
黒い、大きな瞳に涙が溢れた。沖田は、頭をかいた。
「最後にひとつ」
少女が沖田を睨んだ、涙はまだ溢れていた。
「あなたは何なんですか?」

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                             (紫燐)

(人の子です。)
 総司は心の中で呟いたがすぐに打ち消す。
(いや、あんなに人を殺してるにも僕はかかわらずのうのうと生きているだったら僕はいったい、、、。)
「どうしたの!答えられないの!!」
少女に対する答えが見つからない、、。
 そして、総司の口から出たのは、この言葉だった。
「僕は、、、鬼の子です。」

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                              (敬子)

少女はだんだん涙目になっていった。
「やっぱり・・・、あんたは鬼!!最悪な鬼!鬼なら、地獄へいって、兄上をここへ連れてきてよ!!」
少女は沖田を拳でせいいっぱい叩いた。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
                              (綾香)

その少女の拳の痛みに沖田は、この少女の気持ちが分かった。
自分は、母親との思い出は何もない。しかし、自分の姉が、長州の者に殺されれば、どれほど胸が痛み、どれほどそのものを憎むだろう。
自分は、この年で姉と死別しても、このような思いなのに、この少女はどのような気持ちがするのだろう。
長い沈黙を破ったのは、沖田でもなく、少女でもなく、戸を、ガラリとあける音だった。
「総司、休め。」
土方が、顔をのぞかせていった。
「もう少し。」
沖田がそういうと、
「わーった。」
と答えた。そのとき、沖田は、自分が何なのか、わかったような気がした。
「さっき、私は鬼の子といいましたね?」
沖田の問いかけに少女は黙っている。
沖田はフッと笑いこう言い放った。
「私は、鬼の子でなく刀・・いや。剣の子です。おかしいかもしれませんが、剣に生きるものは、皆そうです。」
沖田は、土方が、戸の前で聞いていることを知っていた。
だからあえていったのだ。
土方も同じ気持ちであると確信していたから。
「じゃあね。」
沖田は出て行った。
あっけにとられている、少女を残し。

でていった後で、沖田は土方にこういわれた。
「お前が何を考えているのか、俺にはこれっぽちもわからねぇ。だがな、総司。ムリをするなよ。あの少女が死んでも、無理して笑うなよ。」
と。
「土方さんがそんな口をきいていいんですか?似合いませんよ。」
沖田はおかしくなりこう答えた。
「うるせぇ。けが人は寝てやがれ。」
こんな口をきいたものの、いつもの総司に戻り、安心していた。
総司もまた、同じ気持ちだった。
次の日、沖田はまたしても、少女の部屋へ行った。
沖田は笑顔で、
「今日、そこで子供達と隠れ鬼をしていたんですよ。あなたぐらいのこもいたなぁ。」
と話し始めた。
それを外できいていた土方は、
(また強くなりやがった。)
実感し始めた。
相変わらず喋らない少女に沖田はまだ話している。
それにあきれて少女が、
「あんはん、どないな神経をしてはるん。」
というと、
「剣のように硬い神経。ですよ。」
とこたえた。
少女は噴出し、
「あんさん名前は?」
ときいた。
「沖田です。みんなは、沖田の兄ちゃんてよぶなぁ。あ、だけど土方さんたちは、総司って呼びますよ。」
「ほなら、沖田の兄ちゃんうちの名前はすずゆうんよ。ここは、つまらへんさかい、もっとお話してくれまへんか?」
少女のこの言葉に沖田はにっこりし、
「いいよ。」
とこたえた。

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                            (ゆっこ)

沖田はすずにいろいろな話をした。自分の家族の話、江戸の話、壬生寺に来る子供の話・・・
すずは沖田の話に聞き入り、険しい表情はすっかり消えていた。沖田が冗談を言うと、
声を立てて楽しそうに笑う。その姿に、沖田はすっかり安心した。
「すずちゃんとしはいくつ?」
「14」
自分が14の時はこんなにしっかりと自分の思いを持っていただろうか・・・。沖田は、ふと思った。
「明日壬生寺に行ってみませんか?友達とかできて楽しいですよ。」
沖田の言葉ですずの顔がパッと明るくなった。
「うん!行きたい!!」
沖田は笑顔でうなずいた。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・**・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
                            (綾香)

その日の夜。
沖田は土方にこういった。
「土方さん。一度でいいからすずちゃんを壬生寺へ連れていてもいいですか?」
土方は、眉にしわを寄せ、
「すずっていうのは、だれだ?」
と答えた。
「あぁ、土方さんには話してなかったけ。あの女の子ですよ。今尋問されている。」
沖田は土方の疑問に答えた。
いつもの土方なら、無表情で、「あぁ。」と答えるはずだ。沖田もそれを期待していた。
しかし、土方は顔をこわばらせ、
「だめだな。わけは明日聞かせてやるさ。」
と答えた。
その顔が―――、土方らしくなく、ひどく傷心した顔だった。
「わけとは、今聞かせてください。」
沖田はその顔を見て、そういった。
土方は、沖田を見上げた、その顔は、いつもの笑顔でもなくかといって、剣を持ったときの鬼人の顔でもなかった。
その顔とは?
その顔は、試衛館にいた頃、一度見せた顔だった。
口元は引き締まっている。が、目が死んだ魚のような目。
その目には、頑として動かないものがあった。
沖田には、何が起こっているかわかっていた。
ただ、それを認めたくなかった。それを認めたら、すずは、死んだことになる。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
                             (トラ子)

その沖田はすずの所に行った。
「すずちゃん、明日はいけなくなりました。だから今私と鬼ごっこをしましょう」
沖田は勤めて笑顔を作った。
「でも、夜が遅いですから静かにしなくてはいけません。そして、場所はここの外で」
「外?いっていいの?」
「はい、お許しが出たんです。鬼は私とこの家に住んでいるみんなです。見つからないように遠くに行くんですよ」
「遠くって?」
「遠くです。もし、いっときたっても見つからなければあなたの勝ちです。どこへでも自由に行きなさい」
「本当に?」
「本当です。でも、見つかったら大変なことになりますから注意してください。」
その時間は一番警備が薄い時間だった。
だから沖田は少女を外へといざなうと
「じゃあ、今からですよ。10数えるので逃げてください。・・・1・2」
10数えるとそこに少女の姿はなかった。
沖田は部屋に帰り少女の無事を祈った。
次の日沖田は土方の元へ少女を逃がしたことの罪を告白にいった。
でもそこには少女がいた。
ちょこんと土方と近藤の前に座った少女は沖田を見るとにっこり笑った。
「・・・・なんで・・・・?」
「沖田の兄ちゃん、私最初にお兄ちゃんに聞いたよね。あなたは何なの?ってお兄ちゃんは自分のことを鬼の子だっていってたよね」
沖田にはそこにいる少女が連れ戻されたようには見えなくて
「でもね、お兄ちゃんは、鬼じゃなかったよ、だってお兄ちゃん鬼役が取っても下手なんだもん」
少女の顔に涙がこぼれた。
「お兄ちゃんが本当の鬼ならよかったのに・・そしたら最後まで憎むこともできたのに」
「・・・・・・」
「鬼はね。私なのかもあなたを苦しめることしかできない私なのかも・・・」
「・・・違う・・・」
「最初からあなたを苦しめてばかりね・・」
「・・違う!!」
「・・・ありがとう・・・」
「・・・・・」
「・・・・さようなら・・・」
知れば迷い
  知らねば迷わぬ恋の道
「・・・笑っていてね沖田のお兄ちゃん」
その後三日雨は降り続けた。
「・・もう少し待ってくれ・・・。この雨がやんだら笑うから今はただ泣かしておくれ」
振り続ける雨の中一人ずぶぬれになりながら空を仰ぐ。
声を殺して、なき続ける。

そして、彼は誓うのだ。幼き少女に決してもう泣かないと・・・。
時はたち、彼に最後の時が来た。
だが、いやに晴れ晴れとした気持ちであった。
そこに「にゃーお」と黒い猫がすりよってきた。
総司は黒い猫がまるで死神のように見え、
寝床から起き上がると一心不乱に剣を振り回す。
だが、そんな剣があたるはずもなく。
だだむなしく中を舞うのだ。
総司の脳裏には鈴の顔が浮かんだ。
猫と鈴の顔が合わさった瞬間彼は悟った。
「やっぱり最後まで君だけは殺せなかった。」
もう少しでもう一度君に僕の笑顔を見せよう。
そしたら君は僕に笑いかけてくれるかな。
どとうのような時代に生きた僕。
最後に思い浮かべるのは仲間と君の一番の笑顔・・・。



                 おわり


*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

                            (トラ子)


俺のすべては武士になること。
俺は誰よりも武士らしい武士になる。
そう決めて京まできた。
でも、そのために必要だったものがある。
一人は近藤勇という忠義を尽くしえる人物
そして、もうひとつはこいつ沖田総司という不変の人物
総司は変わらない。
相手が権力を持つ人物でもそうでなくとも総司はずっとかわらない。
だから、俺は俺のエゴでこいつをつれてきたんだそれをこんなに実感する日が来るなんてな。
あの日あの時お前は、あの子供に殺されようとした。
俺はあのときほどわれを忘れたことはないだろう。
それは、あの鈴という娘が総司の姉にそっくりだったからだ。
総司にとって何より大切なものにやつは決して剣を向けることはないからだ
やつは昔から不変的に持っているやつの知らない心情を俺はしっていたから
あのときほどわれを忘れてしまうことはないだろう。
消えいく命をもったとしたら、俺はどうするのだろう。
砂には期限がつき速度を速める。
ああ、俺はやつよりは確かに弱いのかもしれない。
だからこそ、俺にはやつが必要なのだ。
いや、俺だけじゃない。この新撰組にとっても・・・
俺も、山南も、芹沢も、そして、近藤さんですら、
あいつを必要としている。
それは、だれの目から見ても明らかなように俺は思える。
あいつは武士なのだ。
剣に生き抜くしかない武士なのだ。
だからこそ、あいつは切なくはかない。
皆、知っている。
もうこの国は刀を使うことをやめようとしていることを
だが、そうと知っていても悪あがきをしたいのだ。

そして、俺たちは知っている。
俺たちはどんなに偉くなろうとも農民といわれ
武士と呼ばれることは難しいことを。
近藤さんは言った。
「俺たちは武士より武士らしくなればいい」と
でも、俺はそのときは納得できなかった。
俺は武士になりたかったのだ。
そんな時、沖田という家が藩の武士であることを
俺は期待に胸膨らませその家にいった。
どうすれば武士になれるのかを聞きに
沖田家はとても古ぼけた家に住んでいた。
せわしなく人が出たり入ったり。
小さい少年、3歳くらいだろうか。
家の前で一人で遊んでいる。
そのとき誰かが少年を呼んだ。
少年の母のようだ。
青ざめた母少年を抱き寄せ家へと入っていく
何事かと思い俺もあとをおってそっと家にはいる。
そこには布団に横になる男の姿があった。
男は少年をみると
「総司朗、我が家は武士の家計だ。ずっと藩に付き従ってきた。お前はとても私の父上に似ている。だから心配なのだ。」
子供はきょとんとした顔で聞いている。
「私の父上は実は藩の鬼は番だった。それも人殺し専門の、その血を強くお前は、引き継いでいる。だから、お前は決して剣を持つな」
「その剣を持てばお前は鬼と化すことができるだろう。お前にはその才能があるんだ。総司朗よ武士になるな。幸せになれ。剣の時代は必ず終わるだろう。だから総司朗、沖田の名をお前にはやることはできない。この父が残す最後にお前にしてやれることだ。総司朗鬼となるな」
土方は見つけた。
武士をこの少年は武士になる資格を有するとこの父は言っているのだ。
だが、そうするとこの父親の証言が土方を不快にさせた。
土方が切望してもなれないものに
なりたいと思っているものをなるなという。
沖田の父。
そして、この少年。
鬼となるなといわれる少年に興味をいだいた。

沖田の父が息を引き取った。
そして、沖田家を継ぐのは本来ならば総司のはずが
彼でなく彼の姉の旦那に沖田をつがせた。
父親の遺言を忠実に守っているのだ。
だが、ここで問題が起きた。
沖田家の金銭状況が苦しくなってきたのだ。
そして、土方は総司と出会ったのだ。
あの日はそう泣きそうなのに黙って口をつむぐ総司を見つけたんだ。
姉の去った方向をただ、じっと見つめていた。
あの強い目を忘れることができない。
ただ、あるがままを受け入れる。
強くそして、はかない目だった。
総司の剣の才能は桁外れだった。
それこそ、剣のために生まれてきたようだった。
だが、総司はたまにいなくなるかと思えば子供たちと遊んだりしていた。
まだ子供なのだ。
だが、奉公に出された子がそんなことが許されるはずもなく。
見つかっては、総司を嫌う近藤さんの母上に怒られていた。
それでも黙って耐えていた。
俺と近藤さんと総司はまるで兄弟だった。
それは京都に来ても同じだ。
近くにいるだけが絆ではない。
藤堂も近藤さんの近くにいるが、総司にはかなわない
それは、お互いのことを深くしっているからだろう。
俺たちには馴れ合いでなく絆がある。
その絆ははずそうにも外れない。
だがら総司が芹沢に好かれたとて俺たちは揺るぎはない。
だが、鈴は違う。
あの顔はだめだ。
総司の中で一番勝てないのが姉であろう。
そして、次に近藤さん
そして、俺であろう。
鈴は総司を鬼といった。
総司もそれを受け入れようとした。
総司の父は総司に鬼になるなといった。
だが、俺には見えないのだ。
総司が鬼には総司は鬼にするにはやさしすぎる
確かに総司は人をたくさん殺している。
そうだ。だが、やつは本当はそれを望んでいない
ただ俺たちがやつに望んでいるのだ。
武士の子が道場に預けられ、そして、近藤さんの母親にはいじめを受け
そして、何よりも大好きな姉に捨てられたように思ったこと
だれかに自分の存在意義を証明してほしいと思うのは人として普通なことだ。
だからやつは自分の望みではなく、人の望みをかなえることを優先してしまうのだ。
それが俺には刹那すぎる。
そこまでわかっていても俺はやつを手放すことができないでいるんだ。
それはたんなるえごかもしれない。
それでも俺にはやつが必要だ。

近藤さんと芹沢さんそして山南さんまでも言う。
あの子は危険だと
たかが女子しかも小娘に何を大人4人があせっているのか
そして、指示がくだる。
だれもそれに逆らうことなど許されないのだ。
局長からの指示。
あの娘を生かしておけないと
総司はあの娘の名をいった。
誰にも何もいわなかった娘が総司にだけは自分の名をいったのだ。
だが、もう遅い。
おれにはどうすることもできない。
昔のようにただ見守るだけ、
総司が部屋から出ると
鈴という娘が始めて俺に言葉をしゃべる
「うち、あしたがさいごなんやな」
「・・・・・」
「沖田の兄ちゃんは鬼ではないねんな。あんな顔して、まるでこの世が終わってしまいそうやわ」
「・・ああ、あいつは鬼じゃないな」
「そうやね。鬼はうちだったんやね。であったそのときからあの人を苦しめることしかできない」
そういって娘はただ静かに涙を流した。
「それじゃあ、俺こそ鬼なのかもしれないな」
とふてきに土方は笑った。
互いに総司がこれから何をするかなんてわかっていた。
だが、それは失敗するだろうことは二人ともわかっていた。
それ以上俺も少女も何もはなさなかった。
そして、鈴は死んだ。
沖田は2,3日行方不明になった。
だが、帰ってきたときはまたいつもの笑顔を見せていた。
その背中には重たいものを背負い込んで笑う沖田に
土方はただ共に共にと歩んでいこうと決めた。
おれの前には近藤さんがいる
おれの隣には総司がいる。
そして、おれたちの後ろには隊士たちが・・・・。
歩んでいこうこの心が進むまま
とまることはないのかもしれない。
そうであるなら最後までおれは全力疾走で・・。
そして、しまいにゃあ。また、道を違えたやつにもであるさ
また会おう。我が友よ
<終わり>


*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*


この世界には、俺のなれねぇものがある。
それが、沖田という男だ。
この芹沢様が認めた男の中の男だ。
やつは自分が長くないのをもうずいぶん前がらしっている。
そのくせやつは笑ってやがるんだ。
それがどう見ても無理に笑ってるようにみえねぇ。
沖田の病気がどれだけつらいか。
俺はよう知っている。
俺の弟はあれでしんじまった。
兄弟は何人かいるが、あいつだけだった。
兄弟の中で俺が心を開くのは、あいつも確か笑っていた。
俺が会いに行くといつもあいつは縁側で笑って出迎えるんだ。
だから、俺はいつも大丈夫だと思ったんだ。
俺の弟は病よりも強いやつだと。
だが、違った。あいつは、俺があいつの家を出た直後敵に会った
その当時の天狗をやっていた俺には敵は腐るほどいた。
だが、少しばかり人数が多かった。
敵と立ち回って、一瞬の隙をつかれ振り落された剣
そのとき、剣はきった。
俺のたった一人の弟を
激情に任せて剣を振るった。
そして、すべてが終わったときはっと気づき弟に駆け寄る
「なにやってんだてめー」
弟はもう息絶え絶えだ。
「よかった、兄さんが無事で・・・。ごめんね、兄上。・・・僕」
まだ助かる余地がある。
「俺が今医者まで連れてってやるから待ってろ」
「まって!!・・・ま・・って・・」
弟がおれの着物をしっかりとつかむ
「兄上。俺もういいよ」
いつもの笑顔であいつは悲しいことを言う
「何、なにいってやがる!!!」
「俺もう、いいんだ。もう戦えないんだ。」
病が弟の心に巣を作った。こんなにもこいつを蝕んでいた。
こいつは一人であの小さな布団の上でのみ戦っていた。
そういえばこいつは昔から体が弱くて外にもろくに出れなかった。
こいつは何を楽しみに生きていたんだろう。
「それに俺、兄上がここを出たいこと知ってるんだ・・・。でも兄上は優しいから俺を一人で置いて行けないんだよ。」
(・・・・・)
「俺の最後の願いを聞いて、兄上の手で俺を自由にして」
(!!!!!)
あいつの自由・・。あいつを布団に縛り付けるだけが・・・・。
「俺は・・・・。」
「お願い。兄上が俺の生きる生きがいなんだ。もう俺、長くないだからこそ兄上に・・」
弟の目に涙がこもる。
俺の心のおき場所、誰も信用できなくても、こいつなら信用できた。
俺の片腕。俺の一部。それを俺は自分で・・?
できるわけがない。
だけど、あいつは死にたがっている。
病魔にあいつの命を取られるのなら、俺があいつの命を・・・。
芹沢の目に涙が流れている。
「わかった。」
そして、刀を振りかざし。
「兄上、また会いましょう」
あいつは俺の一番好きな笑顔をして、
あいつの最後を区切った。
そして、時は流れ、俺は弟とそっくりな沖田にであった。
あれから俺は、酒を飲まなくては人を切ることすらできない。
俺は自分で半身を切ってしまったのだ。
そんな俺がうまく機能できるはずもなく。
生きることにすら。しがみつくだけ、
だが、沖田とあった。
そして、おれは決めた。もし、殺されるようなことがあるのならこの男がいいと
そして、この男を同じ目には合わせやしないと。
だから、俺は鈴を殺した。
命を下したのは俺だ。だれも逆らうものも意見を言うものもいなかった。
それは、エゴかもしれない。
だが、俺は、もう二度とあいつをあいつの面影を持つやつでも失いたくはないのだ。
うらみたければうらめばいい。
もし、あのときの自分に戻れるなら。
弟を生かす道を選ぶ。
そう、またあいつとめぐり合いたいんだ。

ごめんな総司かってな局長でよ

じゃあな。総司おれには弟がまってるんだ。
お前が怖いといったところに俺は先に行く。
そして、生まれ変わる。
今度は半翼をそのままに・・・。
ただ一人だけでいい。
そう、昔から思っていた。
置いていかれる自分が惨めにならないように。
いつでも俺はわらっていた。
それは強いからじゃなく。よわいからだ。
必要以上に誰かに強く見せたくて、俺は剣を持つ。
そして、俺は今・・・。
どうも山南さんが近藤さんを京都に連れて行くらしい。
詳しいことがわからないが、近藤さんも乗り気みたいだ。
僕は少し寂しいけれどしかたない。
そこで近藤さんは偉くなるみたいだから。
それに、この道場に居候してた原田さんたちも一緒についていく気らしい
みんないなくなるとひまだよなぁ。
土方さんも行くらしいなぁ。
「おお、総司こんなところで何してるんだ」
「ああ、土方さん何って稽古ですよ。みんないなくなっちゃうからいまのうちにね」
「何言ってんだおめぇ。荷物整理はできたのかよ?」
「はい。みなさんできたみたいですよ」
「ちがう!!お前のだ!!」
「・・・はい?私がなぜ?」
「なぜって、決まってるだろお前もくるんだよ!!」
「え!!僕もですか?無理ですよ」
土方さんがおこってる
「あたりまえだろ!!」
「はあ…僕も、ですか」
「何か文句でもあるのか?!」
…これで、暇じゃなくなるな。
「分かりましたよ。」
「おう、じゃあとっとと荷物整理して来い!」
「はいはい」
というか、なんというか、僕は本当に行くのだろうか?
でも、ここで終わる気はないし、旅には出たかった。
姉上はきっと怒るんだろうなぁ。
武士かぁ、父さんは俺に鬼になるなっていった。
でも、俺に宗家を次ぐものとして、名前、宗次郎と名づけた
そして、俺はその名を変えた・・・。
総司と・・・。
そして、いままた父の言いつけを守らずに鬼になりにいっていいのだろうか。
だが、俺に剣をない世界で生きて行けるだろうか、
・・・・。

<2008/4/2(水) 21:44 トラ子さん・他>

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